- Mコイル型熱交換器は、プロセス流体の流路である伝熱管と、仕切板と伝熱管外面によって形成されたユーティリティ側熱冷媒の流路により構成されています。プロセス流体とユーティリティ流体は螺旋流路での完全対向流型で熱交換を行います。プロセスが流れる伝熱管はシームレスパイプを使用し、本体内部に溶接部を設けておりませんので、溶接部の劣化や不良等によるトラブルはありません。頻繁に起こるヒートショックにも伝熱管がコイル状で可動構造であるため、発生応力を吸収致します。管板がない構造の為、拡管部での漏れや錆び、溶接部劣化による漏液の問題がありません。
- 理論的な設計により画期的な流路構造を形成し、熱効率を最大限に向上させ、小さなボディで高性能を実現しております。
- サニタリー性に優れCIP/SIPに対応が可能です。
熱交換
Mコイル型熱交換器
熱交換原理
冷却の場合、冷却する液体はコイルの中を上から下へと通ります。コイル内ではプロセス流体が乱流で流れます。冷水などの熱媒はコイルの外側を下から上に流れようとしますが、2枚のプレートとコイルに邪魔されショートパスができない為、2枚のプレートとコイルで形成されたスペースを通って流れます。
冷却される液体と熱媒の流れの方向が逆方向となり、完全対向流を形成し、高い伝熱係数が得られます。
用途例
・医薬:ピュアスチーム発生装置、注射用水製造装置、培地滅菌、など
・食品:ピュアスチーム発生装置、CIP用水製造、培地滅菌、など
・ファインケミカル:精密温度制御、スラリーの温調、腐食性流体の温調、など
【Mコイル型熱交換器の特徴】
高い総括伝熱係数
多管式熱交換器に見られる流れの不均一性、また、デッドスペースを生じる事に比べMコイル型熱交換器は、両流路とも単一流路で均一に流れ、乱流を得やすい構造で完全対向流を形成するため、高い伝熱係数を得られます。
かつ小さな温度差でも効率よく安定した熱交が出来ます。
省スペース・コストダウン
高い総括伝熱係数と無駄の無い理論的な設計で余分なスペースを省き極めてコンパクトな熱交換器を提供致します。設置スペースは、多管式・二重管板式熱交換器に比べ数分の一であり、またそれに伴い設置架台や運搬・据付工事・配管工事等、大きくコストダウンが可能になりました。
クロスコンタミが無い
菌管理や異物管理を必要とする注射用蒸留水やUF水などに用いられる熱交換器は、二重管板式が主流でした。特に最近では伝熱管に極細管の使用が目立っていますが、管板のセートル加工部やシール溶接部の問題が発生しています。
Mコイル型熱交換器は、管板を有しないため、この問題を解決しクロスコンタミの心配が無く、長時間メンテナンスフリーで使用可能です。
また伝熱管内部は、内視鏡が挿入可能です。
SIP対応
SIP時には、伝熱管の熱膨張などにより通常の熱交換器は大きな応力が発生します。このためシェル側に伸縮継手などを設置いたしますが、Mコイル型熱交換器は伝熱管がコイル状になっているため無理な応力が発生いたしません。
液溜まりがありません
伝熱管がコイル状のため、液溜まりがありません。伝熱管は、1/50以上の勾配を確保しております。
表面粗さ保証値Ry<0.7μm
最近、高温のWFIラインやピュアスチームラインにルージュの発生の問題がしばしば議論されています。 この問題を出来る限り低減させるようプロセス接液部は電解研磨+不動態化処理を標準としています。
この場合表面粗さは保証値は、0.7μm以下となり、高耐食性、高清浄度を保証いたします。
加熱・冷却両用(加熱冷却機)に対応可能
熱媒は蒸気、冷却水いずれも対応可能。一台で加熱器としても、冷却器としても使用できます。
ヒ-トショックに強い
伝熱管がコイル状のバネ構造かつ可動構造となっているため、熱衝撃(ヒートショック)による応力を吸収し易く、また、非常に高い濃度、大きな温度差のある熱交換にも対応可能です。